当事務所にご相談をいただき、解決に至った事例の一部をご紹介させていただきます。
※守秘義務の関係から、ご案内の一部状況や人数などを変更しています。
叔父・叔母の相続手続きの解決事例7
ご依頼者
お亡くなりになった方の甥
ご相談内容
ご依頼者から見た亡叔父の相続の概要は次のようなものでした。
- 亡くなった叔父には配偶者やお子様はおらず、元々の兄弟姉妹はその叔父含めて全部で7名でした。7名の内4名の兄弟姉妹がすでに亡くなっていました。こういった場合、亡叔父よりも先に亡くなっている兄弟姉妹が本来相続する分をその亡兄弟姉妹の子供が相続する(代襲相続といいます)ことになります。ご依頼者様も代襲相続による相続人の1人でした。
- 亡くなった叔父の財産額は総額で2億円程度あり、預金や有価証券の財産調査・解約処理が困難でありました。
- 叔父名義の不動産の相続登記も必要でした。
- 叔父には財産が多く遺されていたため、相続税の申告が必要でした。
当事務所の対応
まずは戸籍収集の上、相続人の確定作業を行っていくことからスタートします。亡くなった方の出生~死亡までを遡り、そこから亡叔父の親や兄弟姉妹の生死を判断の上、健在な兄弟姉妹に関してはその後の相続手続きで現住所の情報や現在の状況を証明するため、住民票や戸籍謄本の取得も行います。
亡叔父よりも先に死亡している兄弟姉妹については、代襲相続人となる亡兄弟姉妹の子供の現在の戸籍謄本、住民票なども取得していきます。これは健在な兄弟姉妹の証明書の範囲と同様です。ご依頼者のケースですと、結果として相続人は全部で9名いましたので、ここの戸籍収集の作業は大変な苦労を伴います。簡単に戸籍収集と言いましても、これだけのボリュームの戸籍謄本等をご依頼者が単独で収集しようとしても、委任状が必要であったり非常に時間と労力を奪われる作業のため、途中で頓挫されてご相談される方も多くおります。
当事務所は行政書士事務所であり、職権で他人の戸籍謄本等を取得することができます。これは相続関係説明図作成などの正当な理由に基づき付与された権限となります。叔父叔母の相続のような一般の方がご自身で手続きを取ることが難しいケースは、当事務所のような相続専門の事務所にこのような戸籍収集を依頼することがスムーズに相続を完了させる一助になります。
戸籍収集が完了したら、相続関係説明図を作成します。この相続関係説明図は相続関係を一目で把握できるだけでなく、その後の相続手続き先でも提出することにより、相続人の関係を金融機関等へ説明しやすくなり、相続手続き上大変便利な書類となります。
戸籍調査の後、その取得した戸籍謄本等を使用し、亡くなった叔父の財産調査を行いました。調査の結果、叔父名義で不動産が複数あることがわかり、また、預貯金も金融機関でいうと4行ほどと取引がありました。有価証券(株式)もあり、こちらについては証券会社にて財産調査のお手続きを取りました。生命保険の死亡保険金・入院給付金等の未請求分の債権も出てきました。このようにして一つ一つの財産をもれなく調べていく必要があります。
不動産の調査については、不動産権利証などの写しをご依頼者から提供していただき、不動産の現在の登記情報をオンラインにて取得し、把握している不動産以外に漏れがないかどうかを調べるため、不動産が所在する市町村に名寄台帳の閲覧申請を郵送で行いました。この名寄台帳には、その不動産の固定資産評価額も記載されています。
預貯金の調査については、当事務所から離れた金融機関であったため、郵送にて財産調査手続きを行い、以後の遺産分割協議で必要な残高証明書の交付を受けました。有価証券についても同様に、証券会社に郵送にて残高証明書の交付申請を行いました。保険金については、受取人が初めから決まっているもの以外については、遺産の範囲に含まれるため、実際に保険金の請求手続きを取り、実際に入金になった分を遺産分割の対象としていく必要があります。
これらの不動産名寄台帳、預金・有価証券の残高証明書、保険金受取の通知物(保険会社から保険金給付の後に発行される)の写しなどは、全相続人に開示して、どのような相続財産があるかを全相続人に把握していただいた上で遺産分割協議を行っていただくことになります。
なお、相続財産にはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も相続の対象となりますので、このマイナスの財産も調べておく必要があります。叔父には死亡時点での債務として、病院代の未精算金がありました。これも証拠資料とともに全相続人に対して開示する必要があるといえます。負債については、プラスの遺産から控除して遺産分割を行うことになります。
このように、戸籍収集による相続人の確定や相続財産の調査、遺産分割協議などを経て、最終的には、不動産の相続、預金や有価証券の相続、保険金請求手続きを当事務所にておいてサポートし、相続税の申告も税理士事務所とともに対応し、納税も済ませ、この叔父の相続がすべて完了となりました。
相続人が多いこと、財産額も多いこと、相続手続きが不動産や預金、有価証券・保険金請求と、その相続手続きの種類も多いこのようなケースでは、ご自身で全ての相続を完了させることが難しいと思われます。同様なケースでお悩み方は、是非とも当事務所までご相談ください。