当事務所にご相談をいただき、解決に至った事例の一部をご紹介させていただきます。
※守秘義務の関係から、ご案内の一部状況や人数などを変更しています。
叔父・叔母の相続手続きの解決事例8
ご依頼者
お亡くなりになった方の甥
ご相談内容
ご依頼者様の父方の叔父様の相続のご相談でした。亡叔父様の遺言書はありません。ご依頼者様のお父様が相続人となっており、亡叔父様には配偶者、子供がおらず、ご両親もお亡くなりになっていたため、兄弟姉妹、甥姪が相続人となる複雑な相続関係でした。相続人の数は6名にも及び、手続きが必要な遺産は預貯金のみでした。ご依頼者様は直接の相続人ではありませんでしたが、お父様(相続人)に代わり相続手続きについて調べていらっしゃいましたが、「相続人の住所調査が必要なこと、相続人が多数であり、亡くなられた叔父様が遠方であることにより戸籍の収集が困難であること、さらに、各相続人の方々の相続のご意向も確認する必要があること」などご自身では手に負えなくなり弊所にご相談・ご依頼をいただきました。
ご対応の流れ
① オンラインによるご相談
まずは、オンラインによるご面談にて本件相続に関するお客様のお悩み・お困りごとを聞き取りし、その解決策やそのために必要な手続きの流れ、手続きにかかる料金(御見積)、手続き完了までの期間を丁寧にご説明しました。正式にご契約をいただき、ご依頼人様において把握されている相続人様の情報、遺産に関する資料をメールや郵便等でお預かりした上で、業務を開始しました。
②相続人調査(戸籍収集)
手続きにあたりまずは、法律上の相続人を客観的な「公的資料」で確認する必要があります。戸籍収集が相続手続きにおいては一番時間がかかります。本件では、亡叔父様の兄弟姉妹、甥姪が相続人となるケースであるため以下の戸籍を収集する必要がありました。
・「亡叔父様の出生~死亡までの連続した戸籍類」
→「亡叔父様にお子様がいないこと」を証明するために、亡叔父様が生まれてからお亡くなりになるまでの連続した戸籍
・「亡叔父様のご両親の出生~死亡までの連続した戸籍類」
→「亡叔父様のご両親の死亡」と「亡叔父様の兄弟姉妹の人数」を証明するために、亡叔父様のお父様、お母様がそれぞれ生まれてからお亡くなりになるまでの連続した戸籍
・「亡叔父様より先にお亡くなりになったご兄弟の出生~死亡までの連続した戸籍類」
→「亡叔父様の甥姪の人数」を証明するために、亡叔父様より先にお亡くなりになっているご兄弟の生まれてからお亡くなりになるまでの連続した戸籍。今回ご依頼頂いたお客様の甥・姪の人数は、4名でした。
・「法定相続人全員の現在の戸籍謄本や住民票など、相続人を特定する戸籍等証明書」
→甥姪の他、亡叔父様の健在な兄弟姉妹2名の戸籍謄本や住民票も取得します。
戸籍の収集にあたりご依頼人様より相続人様の情報をいただきますが、ご依頼人様が把握されていない相続人様がいる可能性がありますので、戸籍収集は注意深く行っていく必要があります。もし、相続権がある方が一人でも合意していない遺産分割の協議は無効になってしまうからです。
③相続財産の調査
預貯金が残されていたため、金融機関への調査(残高証明書の取得)を行いました。遺産調査の結果、ご依頼者様で把握されていない遺産が発見されるケースもあります。金額によっては相続税が課税されるケースもありますので注意が必要です。残高証明書を取得することにより、その金融機関での全取引の開示ができる(一部例外はありますが。)ので、この残高証明書の取得も忘れずに行うようにします。
④意向確認
収集した戸籍・住所証明書により、相続人の特定が出来ましたら、相続人宛の遺産分割の意向を問う書面、意向確認書を作成し送付します。(お手紙作成の代行といいます。差出人のお名前は相続人様となります。)交流がない疎遠な相続人がいる場合や疎遠ではないにしても専門家による監修のもと、相続人に対して本件相続のことを説明する文書を作成してほしい場合など、ご依頼者様のご依頼のきっかけは様々ですが、弊所は疎明資料(相続関係説明図・亡くなられた方の死亡の事実がわかる戸籍・相続財産の状況等)を添付してご協力のお願いのお手紙作成を丁寧に行ってまいります。
戸籍・住所証明書を取得し、財産を明確にし、お手紙を作成し意向を確認する作業は、次の⑤の遺産分割協議書を作成するのに重要な作業です。ここで相続人全員の足並みを揃えなければなりません。
⑤遺産分割協議書の作成
各相続人様の合意内容を基に遺産分割協議書を作成し、6名の相続人様全員からご署名・ご捺印をいただきました。遺産の分割は、原則として「法律上の相続人全員の合意」がなければ進める事ができません。本件では、トラブルもなくスムーズに協議がまとまりましたが、本件のように兄弟姉妹・甥姪が相続人となり相続人数も多い場合、相続人同士が顔すら合わせたことがない関係性であるようなケースも多くあり、感情的な問題などで話し合いがうまくまとまらず手続きにかなりの時間を要することもあります。
⑥預貯金等の解約及び払戻し、代表相続人の口座への送金
相続人6名全員から手続きに必要な遺産分割協議書や印鑑証明書、委任状などをいただいた上で、金融機関で手続きを行いました。取得した戸籍一式もこの時合わせて提出します。なお、取得した戸籍一式は複数の金融機関で使いまわしできる(原本を返してもらえる)ので、必ず原本の還付を受けるように金融機関にその旨お願いすることになります。こうして不備なく書類を揃えると、金融機関のほうから相続預金の払い戻しを受けることができます。原則的には、複数いる相続人の中から代表者を決め、その代表者宛に金銭の払い戻しを受けることになります。最終的には、相続人の代表者よりその他の相続人に送金処理を行い、遺産分割手続きが完了します。
⑦業務完了とまとめ
今回は、相続人様の調査(戸籍収集)に加え相続人の住所調査並びに意向確認も必要な手続きとなりました。行き来のない相続人同士での相続のため、意向確認が大きな山場となりました。相続人と連絡が取りずらい、もしくは相続人の連絡先が分からない、平日は仕事をしているため銀行や役所に行く時間が取れない、相続の全体像を把握することが困難など、お困りごとがございましたら、弊所は叔父叔母の相続手続きに豊富な経験がございますので是非一度相談くださいませ。